KADOKAWA・集英社 挑み続ける人へ― 2社連合登頂プロジェクト

企画Ⅱプロに聞く!山登りに関するQ&A

装備について

1924年にマロリーが登頂した時のウェアと現代のウェアの性能を比較し、装備は変化していますか?
マロリーがエヴェレストに挑んだ頃はウールを重ねることで防寒していたのですが、近年は化学繊維が発達し、より「温かく軽い」ウェアへと進化しています。
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わたしの視線は、稜線上の、ある岩のステップにある雪の背に止まっていた。その雪の上をひとつの黒点が動いていたのである。
人であった。
人が、ステップの雪の背を登っているのだ。見ていると、そのさらに下方から、もうひとつの黒い点――人間が姿を現わして、最初の人間の後に続いて、雪上を登ってゆく。
マロリーと、アーヴィンであった。

テントの設置について、エヴェレスト登頂時での注意点はありますか?
ルートによって設置場所は変わります。雪山では雪面をピッケル等で整地して設置しますが、岩壁の中で広い設営場所がないときはツェルトと呼ばれる簡易テントを使い、狭い空間で寝ることもあります。さらに転落をふせぐためにザイルで体を完璧につないで休むこともあります。

登攀とうはん中の食事について

はちみつたっぷりの紅茶やスープなど、本作では食べているシーンが多いですが、高地ではなぜ温かい飲み物が重要なのでしょうか?
高所では食事が食べられなくなる人も多いので、スープで塩分を摂取し、砂糖やはちみつたっぷりの紅茶を飲んで糖分をとるなどの対処法をとるためです。
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ウメボシ、海苔の佃煮。ビタミンCとビタミンBを錠剤で呑んだ。
チーズを少し齧り、パウダーを湯でといたコーンスープを飲んでいる。
蜂蜜をたっぷり入れた紅茶を、一・五リットル、時間をかけて飲んだ。

ベースキャンプでの過ごし方について

ベースキャンプでの天候待ちや高地順応の際には何をしているのでしょうか?
何もすること・できることがないため、ベースキャンプで小説を読んだり、トランプなどのゲームをして時間をやり過ごします。
ベースキャンプには遠征チームのメンバーがおり、コックもいるので食事面での不都合はありません。

登攀とうはんについて』

「鬼スラブ」とは何ですか?
スラブとは一枚岩を指し、鬼スラブは架空のスラブ状岩壁の名前です。
モデルになったのは、谷川岳一ノ倉沢にあるスラブです。日本では、気象条件ふくめて、最も困難と言われている岩壁のひとつです。
「単独登頂」とは何ですか?
すべてにおいて自分の責任で登頂を目指す登山スタイルのことです。
一つのミスが命にかかわり、強固たる信念と優れた技術力が必要となります。
パートナーと登攀することでのメリット、デメリットを教えて下さい。
メリット→ロープをお互い結び確保しあえるので、安全性が高まる。作業や道具の運搬を分担できます。
デメリット→相手に合わせたペースが求められる点です。登頂スピードを優先する場合などに、パートナーのペースによっては不利になる場合もあります。
登頂中に予期せぬ事態が起きた際、気をつけるポイントはありますか?
まずは下山を第一に、自分自身と仲間の安全を確保して下さい。自分自身のおかれている状況を冷静に判断にして、最良の行動を決定していくことが大事です。

『エヴェレストの夜空について』

作品内で深町が夜空を見て感動するシーンがあります。夜空に関してのエピソードを教えてください。
高所では空気が澄んでいるので星の数が低地では考えられないほど多く、満月の夜には雪に反射した光でライトがいらないほど明るくなります。しかし、晴天に恵まれることが少ないためなかなか見ることのできない貴重な景色です。
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外へ出た。
出た途端に、深町は強い衝撃を味わっていた。
冷気と、そして、風景とに、平手打ちをくらわされたような気がした。
星の海の中に、深町はいた。
これまでの、どの時よりも凄い星の数であった。
天に、これほどの数の星があったのか。

©2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会
©夢枕獏 谷口ジロー/集英社

「エヴェレスト 神々の山嶺」